2007年05月17日
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自らヒカリにゲットされることを望んだブイゼル・サトシよりもノゾミよりも!?

Written By: トーノZERO連絡先

 トーノZEROのアニメ感想です。

 今日のポケモンDPの感想。

サブタイトル §

「ブイゼル!最強への道!!」

あらすじ §

 サトシ達は、川で釣りをしていると襲ってくる強いブイゼルがいると聞きます。

 サトシ達は、そのブイゼルをゲットすべく川に行って釣りをします。

 そこで、ヒカリのライバル、ノゾミに出会います。

 しかし、ヒカリ、ノゾミ、サトシがバトルをしてもゲットできません。

 サトシ達はブイゼルの特訓を目撃します。サトシとピカチュウ、ヒカリのポッチャマも特訓に参加します。

 そこに、ロケット団が来てブイゼルを誘拐しようとしますが、サトシ達が撃退します。

 ロケット団から解放され、落下するブイゼルを、ヒカリは身体を張って助けます。

 ブイゼルはヒカリにバトルを要求し、ヒカリにゲットされます。

感想 §

 今回の内容は、じっくり考えると非常に面白い構造を持っています。

 基本的に、ヒカリがブイゼルをゲットする話なのですが、実はそれほど簡単ではありません。なぜなら、ブイゼルは自発的にヒカリにゲットされた……と見えるからです。しかも、圧倒的な経験を持つサトシよりも、ヒカリにアドバイスできるだけの力量差のある先輩のノゾミよりも、ブイゼルはヒカリを選んでいるわけです。

 つまり、ヒカリはブイゼルに勝って彼をゲットするストーリーではなく、ブイゼルがヒカリに価値を見出すストーリーなのです。

 では、ヒカリの価値とはいったい何でしょう?

 サトシやノゾミとはどう違うのでしょう?

 まず、サトシとピカチュウは、トレーナーまでポケモンと一緒に特訓するコンビです。

 次に、ノゾミはずっと状況を冷静に眺め続け、特訓には参加しません。

 最後に、ヒカリとポッチャマは、サトシやノゾミとは全く異なった行動に出ます。まずポッチャマは、弱いにも関わらず諦めない強い心を見せてくれます。出来なくても、できるようになるまで繰り返す強さがあります。そして、ヒカリ自身は、けして自分も特訓に参加したりはしない冷静さを持ちつつ、同時にブイゼルのピンチには素早く川に飛び込んで助けるという心の熱さも持ちます。

 ここで、強さを得るために特訓を続けてきたブイゼルから見て、この3人のうちの誰が最も好ましいでしょう?

 まず、ノゾミは論外です。彼女は、必死に特訓するサトシをバカにしてしまっています。

 次にサトシにも問題があります。ブイゼルにとって、強くなりたいのは自分です。トレーナーとは、「一緒に強くなる存在」ではなく、「強さを求める強情な自分を抱擁してくれる存在」でなければなりません。

 その点で、ピカチュウと一緒に特訓してしまうサトシは、「一緒に強くなる存在」であって、ブイゼルの求めるものではないでしょう。

 最後のヒカリですが、彼女は未熟であり、ポッチャマもけして強くはありません。しかし、ポッチャマは強さを求めて必死に努力するという意味で、ブイゼルの同類です。そして、そのポッチャマを大切に抱擁するヒカリは、ブイゼルが求める人物の条件に合います。

 更に、ヒカリはいざという時には自分が濡れることも厭わないでブイゼルを助けます。これは非常に重要な点です。ポケモンと一緒に突っ込んでいくサトシは「仲間」にはなり得ても、最後に自分を支えてくれる拠り所にはならないのです。しかし、ヒカリは、そういう拠り所になる存在です。ヒカリがいれば、後のことは考えないで、とことん戦えるのでしょう。(一緒に戦わないヒカリだからこそ、生まれる価値)

 だから、今回あまり活躍しないノゾミがなぜ登場したのかという理由も良く分かります。それはヒカリがなぜブイゼルから選ばれたのかという理由をくっきりと浮かび上がらせるためでしょう、たぶん。

更に感想 §

 とはいえ、これはサトシとピカチュウは劣ったコンビだと言うことを意味しません。

 この2人にとって、一緒に特訓をする関係は「良いもの」なのです。この2人にとっては。そして、それは魅力です。

今回の一言 §

 カスミにもらったカスミルアー、面白いですね。

 ヒカリがいつもの「大丈夫」を言おうとしてポッチャマが目を回し、急にいたわりの「大丈夫?」に代わる演出も面白いですね。台詞は同じなのに、全くニュアンスが変わっています。